ちょっといいたいだけ

主に私立恵比寿中学とukka(ex:桜エビ~ず)について書いています。

「新小岩の母の娘は、もはや新小岩」観劇メモ:2024/03/10 シアターシュリンプ2024 「マイスイートリトルラッキーデイ」 池袋 サンシャイン劇場

行くぜ!サンシャイン劇場!2日目ソワレ!

昼に所用があったので、出先から池袋に向かったんですが丁度乗ろうとした電車が直前の駅で止まってしまってちょっと焦りましたね。元々結構余裕だと思ってたのでギリギリの電車になってしまっていたのですが、電車は4分くらいの遅延で到着、胸をなでおろしました。

池袋の駅に着いて、サンシャインシティへ向かうのに改札を抜けたら「サンシャインシティまで8分」という掲示を見て、開場時間の前に着くかも?と思いましたが、サンシャインシティの入り口までが8分でしたね。本日の会場サンシャイン劇場はとりあえず奥の方だからと旧アムラックスの横を小走りで通り抜け、動く歩道にも乗らずに速足でサンシャインシティの入り口に。案内のお姉さんにサンシャイン劇場はどこから行けばいいですか?とたずねてエスカレーターに乗って地上に上がったところからひたすら奥に奥に進みます。ちなみにサンシャイン劇場、今回はじめて行く会場なんですよね。池袋だと芸術劇場の方には結構昔行ったんですが、サンシャイン劇場でやるようなタイプのお芝居はなかなか見る機会がありませんでした。*1

奥まで進み切って、ぐるぐるとエスカレーターで4階まで上がると既に開場されていたので、とりあえずパンフを購入。サイトには現金もしくはPaypayでとなっていたので、Paypayの画面を開きながら列に並んでいたら、前の人がクレカで買っていたので、なんだよクレカ使えるのかよ!となりました。数分並んでクレカでパンフを購入できましたので、安心して自分の席へ。

今回の自席は13列目の通路後ろの端っこの方でしたが、ステージとの距離もそこまでではなく視界も良好、足もフリーで良い席だ!と思っていましたが、ステージ上のセットを見て、壁に貼られている貼り紙が読みにくかったので、自分の視力に不安を抱えながら開演を待ちました。セットのつくり的には居酒屋なのかなと思いましたが、貼り紙の内容が読めなかったので確信が持てず、必死に目を凝らしたところ、お品書き的なものなことがわかったので、これは目がいけませんねとなりました。視力の低下と花粉症も相まって、双眼鏡持ってくれば良かったなという感じでした。13列目で演劇に双眼鏡が必要だとはこれぽっちも思っていなかったです……。

撮影禁止のプラカードを持っている人が通路を練り歩いていて大変ですねと思いました。なんかデカいの持ってた人いましたよね。一人がB4サイズで、もう一人がB2サイズみたいな。

はじまる前にトイレに行ってみたり、コーヒーを飲んでみたり*2して待っていると、客電が消えて明転すると確か真山さんと安本さんと小久保がスーツで板ついてました。

今回、オムニバス的な話が絡み合っていく展開なので「あらすじ」っていう「あらすじ」はないように思いますし、目指すべき結末が登場人物ごとに違うのでどうなったらハッピーエンドでどうなったらバッドエンドなのかという。結果、ナンセンスコメディにそんなものを求めるなということです。

とりあえず、板付きの会社員3人が居酒屋で社長の誕生会の準備をしているところからスタートします。そこから登場人物が増えるたびに問題が増えていくだけで何も解決しないままスピートが上がっていきます。ショボいスクープを狙って居酒屋に潜入しているゴシップ月刊誌記者と何かトラブルが起こると時間をくださいと頭を抱える居酒屋店員の絡み。神庭の友人、親戚の子をなんとか処理しようとする流れ。思ったより早めに居酒屋に来てしまう社長を何の準備もできていないのでどうにかしなきゃいけなくなり、予約客は偉い剣幕で予約の確認に来るし、予約の入っていた個室は占い師ご一行が占拠してしまい居酒屋店員はパニック、みたいな感じでどんどんトラブルが重なって行きます。

これは物語の中で起こっていたことの一部で、「あらすじ」では、ないのかな……と思います。

最終的に何かが解決したような、何も解決していないような怒涛の時間が流れてパン!と終わってカーテンコールという感じでとても良かった。誰かが上手く行って誰かが上手く行かないということではなく、みんな上手く行かないし、みんななんとなく決着がつきそう(でもつかない)まま終わるのが、これぞシアターシュリンプだなぁって思いました。完璧な読後感。

登場人物に占めるエビ中の割合が過去最高*3で、10人全員に死に役を作らないところなどは平成の蓮見翔*4こと土屋亮一氏(失礼)の面目躍如でしたね。

それぞれが良いエッセンスを引き出されていましたし、みんなお芝居良かったですね。(以下、役名はパンフレットから)

真山さんはとにかくカンの悪い飲み会の幹事「永池」。発注ミスで大量発注をした結果、首の皮一枚で会社に残っているため、留学から一時帰国している社長の娘をサプライズに今日の社長の誕生会を成功させなければならない。大量誤発注の説教で社長に呼び出されたときの世間話からこの会を画策してなんとか社長に好印象を残したい。結果的には社長の適当な嘘に踊らされ、サプライズの仕込みはすべて裏目になっていく。今回の物語の発端でもあり、最終的には絵が上手いということ以外は何も成し遂げられない人。土屋氏、とにかく真山さんをポンコツ役にすることには定評*5があります。

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安本さんはそれぞれのグループのお話を繋ぐキーパーソン「神庭」。これぞイケ本系のキャリアウーマンで、話を動かしていた。ただ何故キーパーソンなのかというとダブルブッキング、トリプルブッキングでどんどん話をややこしくしていくし、なんかずっと電話してるし、結構雑に物事を仕切っていくので本当は仕事できない人なんじゃないかと思いました。安本さんには土屋芝居への経験値の高さを感じました。

小久保は若手社員「藤村」役ということで、ちゃんとした(真面目そうな)会社員らしさと長池(真山)を小馬鹿にしている感じも良かった、居酒屋店員役をさせられたり、社長の娘役をさせられるかと思ったら社長に特別な感情を抱かれたりと振り回される相手が移り変わりながらも一番舞台上にいる時間が長かったのではないかと思います。多分今作の登場人物の中で一番の常識人なんじゃないかと思うと。本人のキャラクターとのギャップが面白いですね。

えまちゃんはちょっと不安な居酒屋店員「今野」。店内に勝手に時計を設置したりするレジスタンス*6活動もするよく分からない人間性ですが、恐らく基本的には善人。頭の回転が若干怪しいところがあったり、最終的に自分の目的のためには暴力で物事を解決するというようなパワープレイもする人。実はシュリンプ名物のサイコパスの系譜は今回えまちゃんだったのかも。よろこんで。

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歌穂ちゃんはガールズビジネスサテライト的な役柄の月刊ゴシップ誌記者「吉岡」*7。居酒屋には潜入取材をするために潜り込んでいるので目的達成のために前半は個室の準備、後半はダブルブッキングされていた個室をどうにか空けるために奮闘する今回のストーリーテラー。元グラビアアイドルの密会現場は特ダネとしてはちょっと弱いと思いつつも無しにはできないというところで動いていく。

心菜ちゃんは神庭(安本)の友達で恋人と別れたばかり、本日誕生日で欲しいものは愛、白装束でド地雷メイクのすぐ絶望する人「ナオ」。神庭のダブルブッキングで飲み会に参加することになり、社長の誕生祝いの装飾を自分のためと勘違いして気持ちを持ち直すもその後乱高下する、神庭の持ち込みトラブルその1。そして別れた恋人は隣の個室にいる。普段の感じとかなり遠いのとこちらの視力がイカレているので、はじめは誰だか分かりませんでした。

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悠菜ちゃんは今回二役、先に登場したのは神庭(安本)の親戚でどこの田舎の訛りだかわからない言語(ただ日本語ではある)を喋る中学生(役名なし?)。一応未成年なので居酒屋にいることを誤魔化そうとされたり、藤村に吹き込まれた設定(次期総理大臣候補で命を狙われている)を信じて社長を連れて夜の街に逃げ出す。(そして、社長だけしか戻ってこなかった)もう一つの役はまた後で。神庭の持ち込みトラブルその2。

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星名さんは新小岩の母こと占い師の「山本」。占いサイトを運営して詐欺まがいで荒稼ぎしていたらしいんですが、精神が弱いので一人になると吐き気を催しているのに、今夜は参加費6万いくらの高額セミナーみたいな集会をやっているという。そういう詐欺まがいのアレコレを誰かに押し付けて引退したことにしたいっていう感じでしょうか。

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リコ中山は新小岩の母に救いを求めにセミナーに参加したヒッピーみたいな格好をした週刊ゴシップ誌に連載をしている漫画家(非常にそれっぽい!)「沙織」で、実は神庭(安本)の妹。自分のことを占ってもらいたいのではなく、漫画の登場人物の行く末を占ってもらいたい。スランプ中で筆が進まない様子。居酒屋の廊下で神庭に会って早く帰れ!と拳を振り上げられると暴力に対して過剰な反応をしてしまう。なんのトラウマなのか。神庭の持ち込んでいないトラブル。

和香ちゃんは新小岩の母の占いのせいでナオ(桜木)と別れた、ナオの元恋人「歩美」。結局何に対して怒っているのかがよく分かりませんでしたが、終始怒っていて新小岩の母の闇を暴きたいと思っているらしい。実は隣の個室にいるナオとよりを戻したいのか、ただただ新小岩の母を追い詰めたいのかよく分かりませんでした。ただ何か事態が好転しそうになると今野(桜井)にぶん殴られてぶっ倒されているは面白かったです。普段のイメージは違う方の役でしたね。

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そして、悠菜ちゃんのもう一役は設定が詰め込まれすぎていてシュリンプでは過去イチ複雑な役だったのでは?と思います。留学から一時帰国中の大学生で長池(真山)が必死に連絡を取ろうとしている社長の娘「マリナ」。永池からの電話は知らない電話番号なので無視をしている。占い師新小岩の母(星名)の集会に参加するために居酒屋に。新小岩の母いこと山本は自分の詐欺まがいのサイト運営をなすりつけるためにマリナに「新小岩の母の娘、それはもう新小岩、改め二代目新小岩の母」に仕立てられそうになる。占い師ではないゆるふわ女子大生なのに真理をつく発言をし続け、最終的には相談者沙織の相手をしている。長池(真山)、藤村(小久保)が社長の娘を演じることができないとなったところで誕生会個室に連れ込まれ、実の親の娘が社長の娘のなりすましをすることになる。

今回の客演は二人。お馴染みの小関えりかさんは元グラビアアイドルで今はアニメ考察系のyoutuberで、今夜この居酒屋で誰かとの密会を吉岡(小林)にスクープされそうになってる人「小関えりか」。この居酒屋が何か(アニメ?)の聖地らしく、どうしても今夜ここに来たかったらしい。予約の時間の前に予約の確認をしにきたり、終始怒鳴り散らしたり、最終的には恋したり、感動したり、裏切られたり。長池(真山)となんか関係あったんだっけ?そんな役柄。

もう一人は曽根大雅さんの「社長」。乙女座っていうのが恥ずかしいから誕生日を偽ってたんでしたっけ?だから、誕生会もサプライズもイマイチピンときていない。状況をごまかすために命を狙われている首相候補になったがゆえに神庭の親戚の子(仲村)に夜の街に隠れたり、自社の若手社員とは知らずに藤村(小久保)恋に落ちたり、新小岩の母山本(星名)に1万円をだまし取られたり、誰にも知られていないと嘆く小関えりか(小関えりか)のグラビアアイドル当時のことを知っていたり、本当の娘マリナ(仲村)を娘としてサプライズに使われそうになったりと話をややこしくするためにややこしいことされたりしたりする役。シベ少の兼行凜ちゃんが出た回に出てたようで、見に行っておけば良かったなと思いました。

私は結局暴力が好きなので、歩美が問題を解決しそうになった時に、問題が解決するとばいとが休めなくなると考えた今野が何度も殴ったり馬乗りでパウンドを落としたりしてるところで笑ってしまいました。一見ポンコツで平和そうなキャラクターの今野が一番直接的な暴力に訴えるところなどはなかなかの見どころだったかと思います。あとはどこの訛りだか分からない謎の言語(ただ日本語ではある)を喋ってたあの子は夜の街に消えたまま(社長だけ戻ってきた)だったので、それがちょっと心配でした。

各メンバーのキャラクターの誇張と意外性が毎回ポイントとなるかと思いますが、今回もなかなかだったかなと思います。イメージの誇張タイプは真山、星名、小林、桜井、仲村。意外性のギャップタイプが安本、中山、桜木、小久保、風見。という感じですかね。

シアターシュリンプの外側の話としては、今回の会場となったサンシャイン劇場は808席(オフィシャルサイトより)で、前回*8やった東京グローブ座よりも100席多く*9くなりましたが、今回は東京のみ全11公演*10で、前回はグローブ座の8公演と合わせて、大阪公演*11はまさかの1000人キャパで4公演だった*12ので、規模としては若干縮小していますが、これは第1回*132015年、第2回2016年と連続開催して規模を約3倍にできたという面もあった中、8年ぶりの開催では拡大は難しかったという感じでしょうか。今回は公演によって*14は終演後にリピーターチケットの手売りなんかもしていたので完売はしなかった様子。ちなみに私は千秋楽外れましたけどね。あとチケット代が激値上げされてましたね!*15

なんやかんやありますが、見終わった後はこれぞ完全にシアターシュリンプだなと思いましたし、全員おいしい場面があったのでこれぞ土屋脚本だなと思いましたし面白かったです。とりあえず、SDPからBDを出してくださいという話です。

2024/03/10
シアターシュリンプ2024
「マイスイートリトルラッキーデイ」
池袋 サンシャイン劇場

www.theater-shrimp.jp

*1:池袋で電車を降りたあとサンシャイン劇場まで8分かと思ったら、サンシャインに着いてから5分くらいかかるので駅から15分と見たほうが良いでしょう

*2:水筒かペットボトルのようなフタの締まる飲み物以外は飲んじゃダメとのことでした

*3:10/12(83%)、過去2作は8/10(80%)

*4:ダウ90000、令和の土屋亮一

*5:「ロボサン」のアコ姉、「マキアート」の藤巻先輩、「サテライト」の木下朱美

*6:吉岡(小林)談

*7:ガールズビジネスサテライトの時は柏木さんと客演の浅見さんが月刊ゴシップ誌の記者役を演じていました、歌穂ちゃんは漫画家

*8:第2回公演「ガールズビジネスサテライト」

*9:グローブ座は約700席

*10:総動員可能数約8800人

*11:森ノ宮ピロティホール

*12:総動員可能数約9600人

*13:「エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート」博品館劇場380席で9公演、総動員可能数約3400人

*14:最終日までは連日やってたようです

*15:4900円→5500円→7800円