ちょっといいたいだけ

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「そういう複雑な年頃なんだよ」観劇メモ:シアターシュリンプ第1回公演 「エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート」銀座博品館劇場

それにしたって、銀座に10時は朝早すぎるよ。
普段仕事に出る時間とさほど変わらない時間に家を出て行ってきました、銀座博品館劇場。

シアターシュリンプ第1回公演「エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート」の土曜の回に行くことができました。
田舎に住んでいるので、起床時間の早さにちょっとアレしましたが、とはいえ当たらなかった人もいるワケで、見れるだけでもありがたいです。
博品館劇場、はじめて中に入ったんですが、自分は中段くらいでしたが、どの席でも観やすいでしょうね、流石に狭い、これは当たらんわ……。

直前情報として「演劇部を舞台にしたドタバタコメディ」であるということ、真山さんだけ生徒ではないであろうことくらいだけを頭に入れて観ました。

あらすじみたいなものは他に見た人が書くでしょうから個人的に感じたことについて。
当てられている役柄に関しては、それぞれのイメージや個性に紐づく形で描かれていたように思いますが、普段の個性に慣れすぎてて、一瞬役が入ってこないって感じもしたけど、見ていく中で程なくすっと入ってきました。最終的にはどの役にも見せ場もあって良かったかな。
歌穂ちゃん演じる「川辺真純」が常に困ってあたふたしている役なのですが、序盤*1のくだり以降、ほぼ全編にわたって妙な動きをしながら困っている様がとても良かったし、もっと困ってほしいと思いました。誰のことも裏切れないけど、問題の解決もできない人。
真山さんの根本は多分今回演じた「藤巻千種」みたいな人だよなと思いながら見てました。熱さ、鬱陶しさ、オーバーリアクション、そして誰かに裏切られる、この辺りに彼女の本質があると思います。あとは流行りに乗りきれないところ。こちらは思っているだけですので、本当は違っても知らないです。
安本さん演じる「志村亜由美」*2はこれまでの経験を活かした演技。というか、後半のシナリオを加速させる役回りとして面白かった。でも、次はもっとナチュラルな役が見たい!ということで、劇団シベリア少女鉄道「この流れバスター」に期待する流れなのでしょう。公演によって差し替わる役*3なので、どの程度の出方なのか分かりませんが…。
廣田さん演じる「川辺栞」は、おっとりとした可愛さと、垣間見せる狂気みたいなところは、いつもの歌における例の声と唸りのギャップみたいな感じがありました。特に妹の真純(歌穂ちゃん)に嫌われたと思った時の右手の演技が面白かったです。
りこちゃんの演じる「西本紀恵」は、よくやる真顔の三白眼要素を色濃くした感じの役柄で、部長宮内の使いッパシリターンと恨みのアサシンターンとの切り替えが面白かった。最終的にチェーンソーを持ちだしたところで、R指定が上がりますね。象が脱水症状になる下剤を盛るのもブラックですが。
そんな中で、イメージの逆に振れてたのは星名さん演じる「遠藤優羽」くらいでしょうか。とはいえ、それは彼女の持つ「うっかりしてもくよくよしない」みたいな部分の誇張と取れなくもなかったかな。遠藤ちゃんはとにかくすごく可愛かったと思います。
柏木さん演じる「宮内まや」は、やる気の方向性が間違っている、演劇部の部長。演劇の大会に出たくないから芝居をするっていう物語の導入部。結構荒れたセリフのガラの良くない役だったけど、これもまた多分素に近いよね*4。その中で顧問に恋心を抱く役を演じる場面で、ファンの溜飲を下げる感じもあったのでしょうか。
松野さん演じる「田中小枝子」はその振り切れた演技自体も良かったんですが、これまででおそらく一番彼女の素に近いキャラクターだったのではないかなと思いました。歌劇団でもロボサンも比較的クールな役柄が多かった彼女ですが、今回は容姿に引っ張られず、無邪気さ(悪意と言ってもいい)の塊みたいな役で、たまに垣間見れる楽屋でのはしゃぎ方みたいなところが投影されているのではないかと思いました。とにかくセリフの中でもパンチライン*5を連発してたので、大きめの演技も含めて一番いいキャラクターだったのではと思います。

お芝居の主軸は歌穂ちゃん演じる川辺真純で、事の発端となる藤巻と宮内、下級生()と真純の姉、栞の起こす事件とそれをかき混ぜる田中と遠藤、そして終盤に活躍する志村亜由美という感じでしょうか。

どうしてもグループをメインにすると出てくる見せ場の濃淡という意味では、かほちゃん>松野さん>りこちゃん>柏木さん>真山さん>星名さん>廣田さん>安本さんくらいの感じだったでしょうか。

この形式がある程度続くものであったりするのであれば、もっとそれぞれの出番に濃淡つけてもいいと思いますが、まあ群像劇という意味においてかなり理想的なバランスだったかも。これについてはロボサン以降である*6という部分も大きいんでしょうね。

端々に出る小劇場感みたいなものというか、不謹慎な感じが楽しかったです。個人的な懐かしさを感じて楽しめた部分です。

ちなみに自分の観た回では、はじまるまでも静かだったし、カーテンコールの時も拍手のみだったので完全に終演後のそれだったので良かったです。今回は芝居です、ときちんと打ち出した結果、芝居を見る環境になっていた。歌劇団の時はそういった意味でも中途半端だったように思いました。

上演時間が75分ってことだったんですが、情報量の多さと、終盤の伏線回収のくだりの展開で全然短く感じなかった。貼った伏線は回収しないと意味が無いですよね。演目がコンパクトでも他の出演者が最小限だから完全に劇団*7の舞台だったように思います。75分という時間に月曜ドラマランドを思わせるところもありました。

ロビーに出たところで校長がいたので感動を話したかったけどそういうタイプじゃないのでアンケートに良かったとだけ書いて会場を後にしました。

今のこのグループの規模感からすると会場は小さかったと思いますし、小さいところでしかできないのであれば、もっと期間をとってやってもらいたかったです。
でも、出し物の質とお芝居は会場のサイズ感にちょうど良かったかもなと思いました。セットも4日間しかやらないお芝居にしては凝っていたのではないでしょうか。

とはいえ、映像にもなるみたいですのでね。映像を待ちたいところです。
https://twitter.com/ebichu_staff/status/577074210989719552

本来なら似た題材の「幕が上がる」との比較をしたいところですが、個人的に幕が上がっていないのでそれはまた今度にしたいと思います。

ネタ的には部活あるあるでぬるい感じもないではないけど、それにしてもそれぞれの演技は良かったと思います。エビ中が小劇場の芝居をやっている!という興奮が確かにあった。小劇場の感じが好きじゃない人にとってはマイナスなんでしょうけれど。客演も意図がハッキリしてたと思うので良かったです。

永遠のモラトリアムの中にある(はずの)エビ中が、ちょっと成長したけど、やっぱりこれまでと変わらぬ日常に戻っていくという感じに安心感があったなっていう風に思いましたけど、そうでもないんでしょうかね。

これまでの歌劇団や、大学芸会の演出との違いは明確に出ていたと思います。

単純な良い悪いではなく、映像作家と舞台作家*8の違いです。一度しか見てないですし、そこまで舞台全体見れていたわけじゃないですが、人のいる所がちゃんと定まってたから見やすかったような気がします。シチュエーションを活かす出ハケの使い方も良かった。

そういう意味でも、これまでのものと今回のものの違いは演劇に対する捉え方の違いなのかも知れないなと思いました。これまでは歌劇団だったので目指すものが違うのでしょうが…。

存在しない未来だから無意味な話ですが、シロアリの時点*9でもこれくらいのものは出来てたんじゃないか?っていうのもあります。ただ、今回の作品に関してはあれから1年半の状況の変化が無いとできない座組なので仕方ないです。

今回、外の本職を入れてやったのには意味があったと思いますし、ロボサン以降の世界を見せつけられたなと思います。

シロアリの時点でその変化があったのならそれはそれで今の未来はないので、今の世界も結構気に入ってるから悪いことでもなかったんだと思いますが。
この時期にできたのは環境が奇跡的に整ったからだと思いますので、ここを切り取って残った残らなかった論争みたいなものは意味がないですね。

唯一つ今回の舞台で苦言を呈するのであれば、パンフ(というか、いつものリーフレットかと思いきやサイズが一回り小さい)も買ったんですが、バーコードの印刷が小さすぎて全く読み込めませんでしたので、全然読めてません……。客演の2人の分はバーコードが一回り大きいので辛うじて読み込むことができましたが、あれ、ちゃんと試してますか?
スキャンして拡大してでも読んだ方がいい内容かどうか、読めた方は教えて下さい。

シアターシュリンプの今後への希望としては、是非、芸術劇場の中ホールくらいの規模で夏休みに再演しましょう。むしろ、新しい演目でもいいですが……。

※初出時に「地方で追加があるらしい」という旨の記述がありましたが、そういうTweetを見かけた気がしてたので、噂の出元を探したら妄想Tweetだったということが分かりましたので、 該当箇所を削除させていただきました。大変失礼しました。

※20200107 改行変更
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20150314 朝
シアターシュリンプ
第1回公演 「エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート」
銀座博品館劇場

*1:最初に藤巻がハケる場面

*2:舞台中に100回聞いたけど名前は覚えてませんでした…

*3:男女すらも

*4:千葉という土地に対して偏見があります

*5:「コツ掴んじゃったかも?」「(肩が)暖まってきたー」

*6:脚本の土屋亮一氏がある程度エビを知っていて、さらに本人たちから吸い上げている

*7:シアターシュリンプ

*8:頭のなかでカット割りやズームをしてしまっているように感じる近藤氏の作り方と、その場から消えたり戻ったりするところにちゃんと意味と行動を見えるように作るみたいな今回の作り方

*9:1年半前