ちょっといいたいだけ

主に私立恵比寿中学とukka(ex:桜エビ~ず)について書いています。

これから先はどこに向かって行くんですかね(私立恵比寿中学 6thアルバム「playlist」を聴いて)

私立恵比寿中学の6thアルバム「playlist」を聴きました。
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本日12/18、私立恵比寿中学 6thアルバム「playlist」が無事に発売されました。*1
フラゲ日であります12/17に家にも届いていたんですが、弊社の忘年会でしたので、帰宅が日付を跨いだ後でしたので発売日に初めて聴きました。
とはいえ、夜のうちに聴いたのは「ちがうの」と「SHAKE! SHAKE!」くらいまでで、結局は普通に昼間に通して聴くことになりました。
曲調がバラついている割にあんまりつっかかりを感じることもなくスルスル聴けちゃうなというのが、数回通しで聴いた感想ですかね。

アルバムの全体像というか、収録曲も曲順も先に出ていたので今更なんですが、「ちがうの」から始まるの良いですよね。事前に発表されてた3曲の中では1番好きというか、通して聴いてもこの曲は良いなと思います。歌詞がダサいとの噂もありましたが、歌詞カードを見ていないので良く分かってないです!*2
とりあえず、最後のラップがオモシロにならなかったことは大きいと思います。これも10年の重みなんじゃないかな。*3

かほちゃんがど真ん中に立っているような「SHAKE! SHAKE!」は、この曲以外のかほちゃんの歌にも表情は増えているんだけど、変わらない魅力みたいなものが彼女にはあるので、ステージ上で太陽であり続けるためにトイレで泣くのも許してあげてほしいなと思いますけど、この曲では太陽として真ん中で光り輝いているのでこれはよいかほちゃんです。周りでガチャガチャとラップとかしていますが、かほちゃんがいるから安心感と安定感が凄い。

「愛のレンタル」は途中でジャズっぽい部分があったり、全般的に漂うおしゃれっぽさと大人の雰囲気みたいなものを考えると真山さんは好きそうだよなっていうのに非常に納得感がありました、真山さんてこういう人なんだよなっていう。*4曲中の展開とか凝った感じの作りが、大人の「仮契約のシンデレラ」かなって感じがしました。*5


私立恵比寿中学 『ジャンプ』MV
丁度見に行けたパシフィコ横浜でライブ初披露*6だった「ジャンプ」ですが、1階の最後方から見ていても圧というか迫力を感じました。MVも安本さんがいなくて残念でしたが、6人目の存在を随所に感じる作りだったことと、この曲は安本さんの今の歌い方があっているなと思った*7ので、音源で安本さんの歌が聴けると納得がいくというか、安本さんに振られているパートが安本さんであるべき曲だなと思うので、安本さん入りのライブが見たい曲です。柏木さんの歌い方が面白くなっちゃっているのが、この曲調に合わせてだと思うんですが、やり過ぎてて面白いです。

歌い方の癖が強いというか、曲自体の癖も結構ある「I'll be here」ですが、柏木・真山の対応力が光りますね。柏木さんはこういうの好きなんでしょうけど、やっぱりこういう表現になると星名さんとか、かほちゃん、りこちゃんはそれっぽさが薄れる感じがありますね。そういう意味でも表現力がみんな上がっている中でも向き不向きとか、それぞれの味というかの違いが見えて面白いですね。全員が同じような表現になっても面白くないし意味がないので。
それにしても、改めてまたみんな声が変わったなと思いました。

「PANDORA」は、ツアーで初披露後にYoutubeに上がった映像は数回見て全然ハマらないというか、ちょっと苦手な系統の曲だなと思っていたんですが、実際ライブで見たら、なるほどと思うところが多い曲でした。そのワンクッションが入っての音源なので全然違和感がなくなってましたね。星名さんの超音波みたい*8な声も味わい深いし、実際ライブで見ると出し物として完成度が高いなと思いました。この曲も安本さんの今の歌い方が意外と生きる曲だと思うので、これも安本さんありで見たい曲ですね。*9

「I'll be here」と「PANDORA」の並びの対比はだいぶ面白いなと思います。
万能の武器を持っている柏木・真山と特殊能力の塊みたいな星名・中山・小林と、実力はありながら新しい武器が馴染んでない安本さんが戦っているような感じです。

これが噂の!と思ったのが「シングルTONEでお願い」で、私は比較的山下達郎は通ってきていないんですが、それでも感じるそれっぽさっていうのがやっぱり面白いっていうか、ゴリゴリのCITY POPをエビ中に歌わせるっていうのが面白いんだけど、曲に関してはイメージよりもテンポが速いというか、山下達郎的な人が女性シンガーに提供した曲みたいな感じでパロディの質が高いというか、面白く感じました。最後がフェードアウトなのもそれっぽいような、そんな気がします。

先に聴いた人に1曲だけハロプロの曲が入ってるって言われたので、藤井さんが選曲したという曲かなと思ったら、やっぱり「 オメカシ・フィーバー」でしたね。曲の入りからハロプロだったので笑ってしまいました。藤井さんこの3年くらいずっとハロプロ流行ってますね。特に好きなタイプのハロプロっぽい曲ではないですが、別に苦手なタイプでもないのでこれはこれであり、というかアルバム自体のバランサーになっているかなと思いました。

私立恵比寿中学で作詞をしたという「HISTORY」ですが、ある意味で歌詞の仕上がりがこのくらいの感じで良かったなと思いました。逆に言うとガッツリ補詞が入った整った出来上がりになっていたらどうなっていたのかなっていう感じがありますね。断片的な言葉の集合であって、ひと連なりのものにはなり切っていないと思うので。ほつれたスニーカーとかかとの擦り切れたスニーカーが同じスニーカーと見れれば、全体のまとまりが良いかなと思うんですが、ちょっとそうは感じないし、靴のエピソードを2つ入れるのはどうかなと思いました。
神様の存在を信じられないという意味の表現には言葉の重みが違うなと思います。そして見ていてくれる人はいるというのも実感なのかなと思いました。とはいえ、臭い10年前のスニーカーは捨てた方が良いと思いますけど。加水分解もしますし。

「PANDORA」と「 オメカシ・フィーバー」は今回のアルバムでは色が違うというか大人にはなり切りませんよっていう意味合いで入っていると思うので、その後に「シングルTONEでお願い」*10、「HISTORY」で空気を戻しているところで全体的な大人っぽさみたいなところは作っているなと思います。

そしてこのアルバムを締めくくるのは「トレンディガール」になりますが、エビ中10周年で*11出すシングルということ、主演ドラマの主題歌ということで、爆発的*12な曲を期待していたところがあったので、ちょっと弱すぎるなというところだった「トレンディガール」も良曲というか、「そこまで悪い曲じゃないけど弱い」という感じから、状況が一周回った今*13、良い感じに聴けるようになったなという気がします。
イントロが変態なので掴みはあるけど、曲終わりに余韻が残らないのがアルバムの最後に入る曲としては優秀になったなという感じです。締めくくりにと書きましたが、聴いてみたら全然締めくくってなかったという。
川谷絵音っていう人は活動が精力的すぎて、話題が常に押し流される*14というところは想定外だったんだろうなと思いました。

10曲で約43分は物足りないかなと思いましたが、スルっと聴きやすくてそのまま流しっぱなしにしやすくて、これはこれで完成度が高いなと思いました。*15これは「トレンディガール」の終わり方と1曲目が「ちがうの」であるというplaylistの妙もあるなと思いました。

昨今の楽曲群は所謂「アイドル」っていうものに対するカウンターであるという意味ではあの頃とさほど変わらない精神性があると思っているし、そこにおふざけというかオモシロを載せなくてもカウンターたり得る存在になっているというところがエビ中の現在地だなと思います。
結果的に上がってしまった実力*16と普遍的な楽曲*17を持つことになってしまったエビ中がこれで売れるかどうかはまた別問題なんだよなと思います。残念ながら私が好きな音楽はそこまでの大衆性ががあると思っていませんが、私が好きな音楽になってきているという感覚があります。

このアルバムを持ってアイドルを卒業したとか、アーティスト様だ!みたいな話には、ちょっとというか大いに違うんじゃないかと思っていますので、そういう感想を持たれた方がいればなるほどなとは思いますが、そういう意味での変遷は「エビクラシー」の時点で通り過ぎた話だという感覚です。ただアイドルであるからこその活動であったり作品であったりするということで、私立恵比寿中学というものをアイドルの枠から外すのはもう諦めてよっていう感じです。アイドルの手法でやってるうちはアイドルで良いかなという風に思っています。*18

結局のところ「HISTORY」の歌詞にある「ステージの上ではなんにでもなれるって」が全てですよ。

私は「MUSiC」の感想をまるでベストアルバムみたいだな、と書いたんですが、この「Playlist」は私の慣れ親しんだアイドルのアルバムの手触りだなという風に思いました。ひとつひとつの曲をとれば「これはアイドルの楽曲ではない」だったり、「アーティストのアルバムだ」みたいな感想は当然だなと思いますが、アイドルのアルバムって等身大から背伸びしたところ*19が表現されているところが真骨頂だと思うので、このアルバムはもうちょっと少女っていう感じでもなくなってしまったけれど、エビ中の等身大からちょっと上に向けて作られ、アルバムとしてまとめられているという風に思います。*20

エビ中らしさとは変わり続けること*21だという確信が持てたところですが、「MUSiC」に続いてだいぶ拓けた場所に来てしまったので、これから先はどこに向かって行くんですかねっていう感じです。
私は期待を持ってついて行くだけなんですけど。

20191218 6th playlist - King of Literary exhibition

playlist(通常盤)(特典なし)

playlist(通常盤)(特典なし)

natalie.mu

以下、あとで読むインタビューです
entertainmentstation.jp
utaten.com
skream.jp
www.stardust.co.jp

*1:当初、12/11の発売予定でしたが諸般の事情から1週間の延期となりました

*2:彼氏と別れた女の子の歌みたいですね

*3:「目印の熱いショートキス」とかは確かにダサいですね!

*4:老醜ブレイカー感というか……

*5:私と契約してください→ずっと僕と踊ればいい

*6:直前から先行配信されていた

*7:ふんわりしたメインとなるメンバーが安本さんの曲であるとのこと

*8:高音という意味で褒めています

*9:Youtubeの映像は安本さんが参加している6人のライブバージョンです

*10:普通にCITY POPが好きなのであんまり気にしてないですが、これも飛び道具ですがアルバムの全体像からすると本筋よりだなと思います

*11:この一発で紅白出演まで視野に入れた楽曲で

*12:売り上げ・話題的に

*13:紅白もドラマも期待した結果にはならなかった

*14:川谷絵音という人は話題の中心に居続けるが、周辺の状況は非常に流動的で速度が速いので、一緒にユニット活動でもしないと話題性の加護を受けることはできなかったんだないう風に思いました

*15:過去作のinterludeだったり、72分めいっぱいに収録されているものだったりにも良さは当然ありますし、新曲は何曲あっても良いと思っている派です

*16:10代の子達が10年動き続けたらそりゃパフォーマンスはあがりますよねっていうところではあります

*17:エビ中じゃないと成立しない曲というものは減ったと思っていますが、この状況でやるのはエビ中しかできないというかやらないよなっていう意味ではエビ中じゃないと成立しないものに結果的になっていると思います

*18:そういう意味では「HISTORY」の歌詞はちょうどいい落としどころに落ちたような気がします、悪い内容ではないが良い歌詞ではないという評価です

*19:作家やプロデュースの大人が思うアイドル≒少女がフォーカスされているという意味で

*20:最年長と最年少にそこそこ年齢のギャップがあるんですが、年長者の幼さが良いバランスになっていると思うので、これは選ばれた人間の妙と、積み重ねてきた時間の妙です

*21:ある時点から、いつもその時々のエビ中が一番エビ中らしいんだという考え方になってきました、だから「エビ中らしさ」というものは幻想であって、それぞれ(メンバー・ファン・運営)がどう思っていても常に更新されていくものだと思っていて、「過去のエビ中らしさ」は、「その時点でのエビ中らしさ」でしかないので「今この瞬間のエビ中らしさ」とは常にズレが生じていると思います、逆に個人に対してはそれぞれの個が持つ「らしさ」が強くなって行っていると思います